G-CAP(顆粒球吸着療法)について
お知らせ
2022.03.14
治療情報
2022年1月1日より、潰瘍性大腸炎に対するG-CAP使用条件が緩和されました。 これまでは活動期のみ、10回または11回の使用に限定されていましたが、薬物療法の効果が得られにくい場合や適応できない場合に限り寛解期の維持目的で2週間に1度48週まで(最大24回)行う事が出来るようになりました。 この度、当院で行っているG-CAPがどのような治療なのかトピックとして掲載します。
※当院は専門の先生からの紹介に基づきG-CAPの治療を行います。
当院ではG-CAPの治療を必要と診断する専門医は在籍しておりません。
G-CAPとは
血液を体外に連続的に取り出し、血液内の病因物質を分離、除去したあとに体内へ戻すアフェレシスと言われる治療の一種です。 G-CAPは専用の医療機器を用い、白血球の一部である顆粒球と単球を選択的に吸着除去します。
G-CAPの適応について
- 重症以上の潰瘍性大腸炎では、抗炎症薬の投薬で効果が得られにくい場合や副作用などで減量する場合はG-CAPが適応となります。
- 中等症または重症で大腸に病変があるクローン病の下血や下痢の症状がある活動期の場合は栄養療法や抗炎症薬の投薬で効果が得られにくい場合や副作用などで減量する場合はG-CAPが適応となります。
- 中等症以上の膿疱性乾癬ではビタミンA誘導体の内服から始まり、免疫抑制剤や抗炎症薬が使用されます。
この投薬が無効または適応できない場合はGCAPが適応となります。 - 関節症性乾癬では抗炎症薬の投薬で効果が得られにくい場合、G-CAPの適応となります。
G-CAP治療スケジュール
潰瘍性大腸炎
活動期(寛解促進のため)
重症、難治性 : 一連の治療につき10回まで
劇症 : 一連の治療につき11回まで
寛解期(寛解維持のため)
薬剤治療が無効または適応外である難治性 : 一連の治療につき2週に1回、48週まで
クローン病
活動期(寛解促進のため)
大腸病変起因の臨床症状が残る中等症から重症 : 一連の治療につき10回まで
薬物療法が無効又は適用できない、中等症以上 : 一連の治療につき、週1回、5週間まで
関節症性乾癬
既存の薬物療法が無効又は適用できない : 一連の治療につき2クールまで、1クールにつき週1回、5週間まで
1クール
1クール終了時に医師が2クール目の治療が必要か判断
2クール
治療の流れ
- 治療時間が90分程かかるので、事前にお手洗いを済ませてください。
- ベッドに横になっていいただいてから血圧測定などを行い、体調のチェックを行います。
- 両腕の血管に注射針を刺します。
- 片側の腕からポンプを用いて体外に血液を連続的に取り出し、G-CAP用医療機器に通してから反対側の腕に返します。(60分間)
※この時、取り出した血液が固まらないように抗凝固剤と呼ばれる薬を使用します。 - 回路内全ての血液を体内に戻し、抜針・止血し終了となります。
- 治療後はしばらく安静にしてください。
※当院では透析室で治療を行います。
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千代田透析室
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富田林透析室
G-CAPの有用性
潰瘍性大腸炎
120症例を対象としたG-CAPと薬物療法の比較試験ではG-CAP群58.5%、薬物療法群46.2%が症状改善したと報告されています。 また、活動期の697症例を対象とした別の報告では77.3%が症状改善したとの報告があります。
クローン病
中等症以上かつ大腸に病変を有するクローン病839例を対象とした調査で55.7%の有効性が確認されました。
膿疱性乾癬
中等症以上の15症例を対象とした調査で85.7%の有効性が確認されました。
関節症性乾癬
生物学的製剤等の既存の全身治療が無効、効果不十分又は適用できない活動期の20症例を対象とした調査では85%の疼痛改善が確認されました。
G-CAPの副作用
副作用の発現率は6~8%です。
主に軽度から中度の頭痛、めまい、嘔気や悪心などが報告されています。
治療中、治療後にかかわらず体調に変化があれば医師または当院スタッフにお申し付けください。
特に注意が必要な方
- 妊婦または妊娠の可能性がある
- 授乳中
- 高齢者
- 小児
- 降圧剤(ACE阻害薬)を服用している
該当する方は事前にご相談ください。